幕開けした2022年のW杯イヤー。現在、アジア最終予選B組で自動出場圏内の2位(4勝2敗、勝点12)につける日本代表だが、チームの完成度は決して高くない。ポジション別に見ると、田中碧、三笘薫の新戦力の台頭に久保建英、堂安律も控えるMF陣、冨安健洋が好調を維持し、中山雄太も目処が立ったDF陣に比べて「改善」と「世代交代」が必要なのが、大迫勇也に衰えが見えるFWであり、今年3月に33歳となる権田修一がレギュラーを務めているGKだろう。
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昨年のアジア最終予選全6試合に出場した権田が喫した失点は「3」。初戦のオマーン戦(●0-1)での失点はノーチャンスだったが、サウジアラビア戦(●0-1)の柴崎岳のミスパスから相手FWの1対1となった末に股抜きされて決められた場面は、距離の詰め方が甘かった点も含めて、欲を言えば止めてもらいたい。
さらにオーストラリア戦(○2-1)でのFKによる失点も、フルスティッチの強烈なキックを褒めるべきではあるが、壁の作り方に加えて権田のポジショニングも良くなかった。他の3試合(中国戦、ベトナム戦、オマーン戦)の1対0勝利には安定したパフォーマンスで貢献したが、攻め込まれるシーン自体が少なく、それが故に「正GK権田」の説得力が高くなったわけではない。権田が優秀なGKであることは間違いないが、その地位は絶対的なものではないのが現状だ。
そして権田に代わる“次代の守護神候補”は多くいる。シュミット・ダニエル(シントトロイデン)が今年の2月に30歳になることを考えると、やはり東京五輪で好セーブを披露した21歳の谷晃生(湘南)が一番手だ。至近距離のシュートに対する反応が鋭く、身長190センチの高さと積極的な飛び出しも魅力。東京五輪出場メンバーが揃う現在のDFラインとの連係面も心配なく、早急にA代表デビューをさせたい人材だ。
その他、中堅では25歳の高丘陽平(横浜FM)の名前が挙がるが、充実しているのは1999年生まれ以降の面々。22歳の大迫敬介(広島)と沖悠哉(鹿島)は、すでに所属クラブで定位置を掴んでおり、さらにその下のパリ五輪世代には、20歳の小久保玲央ブライアン(ベンフィカU-23)、19歳の鈴木彩艶(浦和)、佐々木雅士(柏)といった面々が続く。1998年のW杯フランス大会後に発足した日本協会の「GKプロジェクト」の成果もあって、世界レベルのスケールを持つGKが次々と育っており、彼ら新世代の力を早くからA代表に取り入れ、その成長スピードをさらに上げるべきだ。