グランドミュージカル「カーテンズ」で、シングルキャストで主演するだけでなく、演出も務めるなど、躍の幅を広げる城田優さん。かつてオーディションで「日本人に見えない」との理由で落とされたことがあると語る。
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20歳のときの想像からは、全くかけ離れた30代を、今、歩んでいる。
「20歳のときは、30歳ぐらいで結婚して、子供がいて……みたいな。家庭を持って穏やかに暮らしている自分をイメージしていました。でも、実際に30代になってみると、一切家庭を持つ気配もないし、憧れもない(笑)。でも、お仕事の面においては、自分が想像していなかった景色が見られている。それが面白いです」
日本人の父と、スペイン人の母の元に生まれた城田さんは、小さい頃から複雑な思いを抱いてきた。特に、芸能界で仕事をするようになってからは、「ハーフは大成しない」「主役は張れない」と言われることがほとんどだった。
「今はハーフの俳優もそう珍しくはないけれど、20年前は、まだまだ少なかった。とはいえ、今の日本で学園ものをやっても、クラスにハーフの生徒は1人いるかいないかだと思う。あくまで僕目線の話で、大抵の人たちはクラスのハーフの割合なんて気にしてないと思うんですが、僕らのようなマイノリティーからすると、自分のような存在が、頑張ってハーフの俳優の道を切り拓いて、もっと注目してもらえたらいいなとか、似たような立場の人が後に続ける状況を作っていけたらいいなとか、ついそんなふうに考えてしまうんです」
オーディションに行っても、「前例がないから」といって、選ばれない悔しさを何度も経験した。それでも、モチベーションを保つことができたのは、持ち前の反骨精神があったからだ。