「遠征にはバスを使っていくケースが多かった。大勢で雑魚寝ができ、自炊ができる公共の宿を利用していた。食事は保護者が同行して作ってくれました。費用を抑えて、1試合でも多く試合をしたいという山本容疑者の意向でした」

 しかし、逮捕容疑となった岡山県の遠征は違ったという。2020年8月に4日間、吉間容疑者が経営する旅館に部員、コーチ、保護者ら延べ113人が宿泊。ひとり1泊7000円だったが、2万円で宿泊したように装い、同年9月14日に水落被告名義でGo To トラベルの事務局に給付を申し込んだ。

 同年12月に山本容疑者名義の銀行口座に、79万1000円が振り込まれた。「Go To トラベル」は、コロナ禍で観光事業を支援しようとする国のキャンペーンだ。一定の要件を満たすと、宿泊代金の35%が還元されるもの。吉間容疑者の旅館にはひとり1泊7000円が実際に支払われた。部員の保護者からは1泊2000~3000円ほどを集めていた。残りは津山市のスポーツ大会の補助金や部費をあてていた。

「普段は安いところを探しまわって泊まるのに、今回は旅館で3度の食事もあるという。それなのに負担が少なくおかしいと感じていた保護者は多くいた。強制わいせつ事件後、岡山県の遠征で不正があるんじゃないかと噂になっていた。こうやって事件として報じられると、やっぱりという感じがします」(前出・保護者)

 山本容疑者は岡山県津山市の出身で、吉間容疑者とは中学時代の同級生でともに野球部だったという。

「水落被告は事件発覚後、逮捕前まで学校に事情を聞かれていた。その際、水落被告は『山本容疑者から強引にGo To トラベル申請を求められて、やらざるを得なかった』という趣旨の話を聞いたそうです。申請の際に必要な証明書には、吉間容疑者の旅館の印鑑が押されていたそうです。山本容疑者が昔から親しい吉間容疑者と結託し、だまし取ったのでしょう。学校の部活動を理由に金儲けするなんて許せないです」(前出の保護者)

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