動物園のアイドルとして君臨するパンダ。ミュージシャンの山田パンダさんは「実は元祖パンダは僕」だと話す。
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かぐや姫の前にシュリークスというグループをやっていたとき、パンダの絵が描かれたTシャツを着てステージに立っていたんです。1968年のことです。そこに「PANDA」と書いてあったので、パンダちゃんと皆に呼ばれるようになりました。71年にかぐや姫を結成し、アーティストネームを正式に山田パンダとしました。上野動物園にカンカン、ランランが来る前なので、僕が元祖パンダなのです(笑)。
あるとき、楽屋で弁当を食べていたら、「後ろ姿がパンダが笹を食べている姿にそっくりだ」と言われたことも。パンダのイメージに寄せてくるんですかね。パンダが来日したり、子どもが生まれたりすると、僕の身内のことのようにお祝いを言ってもらえますね。シャンシャンが生まれたときは、コンサート会場で「パンダさん、おめでとー!」って声がかかりました。おめでたいことではあるのですが、僕の子どもが生まれたんじゃないのですけどね(笑)。
パンダにはできるだけ会いに行くようにしています。白浜のアドベンチャーワールドも神戸の王子動物園にも会いに行きましたよ。上野パンダ応援団副団長もしています。
僕は「きらきらら基金」という子どもたちのための活動をしているのですが、保育園の先生が「明日、山田パンダさんが来るよ」って言うと、子どもたちはすごく期待するんです。だけど、やってきたのは人間のおじさん。子どもたちがドギマギしている姿が愉快でした。ある保育園では「山田パンダとパンダを見に行く」というイベントで子どもたちと上野動物園に行ったのですが、その日はパンダが出てこなかったんです。そうしたら園児が「パンダさん、パンダが出てこないね」と言い始めて、「パンダがいないのにいる?」と他の保育園の子どもたちが目を白黒させていました。パンダという名前は、いつも何かを期待されるのでなんだか面はゆいですね。かぐや姫は竹から生まれました。笹は近い存在なのでパンダを名乗るようになったのは運命かもしれません。
パンダを見ると何でも許せてしまう。安らぎのシンボルですね。でもかわいいだけではない、何か神秘さも感じますね。(吉田)拓郎にいつまでパンダ名乗るつもりなのって聞かれましたが、僕は永遠に「パンダ」です。
(構成/本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2022年1月21日号