町田瑠唯選手
町田瑠唯選手
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 昨夏の東京オリンピック、バスケットボール女子決勝。アメリカに75対90で敗れはしたものの、日本バスケットボール史上初のメダル獲得という快挙を果たしただけに、選手たちの顔には満足げな表情がうかがえた。

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 快進撃の立役者、ポイントガードの町田瑠唯選手(28)は、しかし複雑な胸中だったと明かす。

「銀メダルはすごい嬉しいことなんです。でも表彰式で隣を見たら、金メダルを持っているアメリカの人たちがいて、悔しかったです」

 準決勝のフランス戦では、オリンピック記録となる1試合18アシストを記録。決勝戦後に国際バスケットボール連盟が発表した「オールスターファイブ」にも選出された。

 身長162センチ。パスだけでなく、自分よりもはるかに大きな選手が固めるゴールの下に切り込んでシュートも放つ。ちなみに決勝戦で最多得点だったブリトニー・グライナー選手は203センチ! 恐怖心はないか尋ねると、

「ないですね」

 ときっぱり。

「シュートブロックされたとしても、次はこうしてみようというふうに楽しんでいる感じです。チームも小さいし自分も小さいけど、世界でも通用するというのをしっかり証明できたのは良かったと思っています。身長が小さくて悩んでいる子どもたちは、あきらめずバスケを続けてほしいです」

 メダル効果で、昨年10月に始まったWリーグ(女子バスケ国内最高峰リーグ)の人気も急上昇。

「オリンピックを見て初めて足を運んでくれた人もたくさんいらっしゃるようで、常にチケットが完売状態になるくらいです。嬉しいですし、すごい力になっています」

 町田選手が所属する富士通は首位(9日現在)。

「Wリーグで優勝することが、今の一番の目標です。勝つことが基本なのは当たり前なんですけど、また会場に来たいと言っていただけるような試合をしたいと思います。見ていて元気が出たり、感動を与えられるようにという思いでやってます」

 オリンピック後、海外のチームから移籍のオファーがいくつかあった。しかし本人は「今季は富士通で」と決めていたので、詳しい内容は知らないという。では来季は?

「チャンスがあればやってみたいという気持ちはあります。この年になると一年一年が大事なので、集中してやっていきたいと思っています」

 WNBA(米プロリーグ)に入団し、Rui旋風を巻き起こすか?(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2022年1月28日号