松下洸平 [撮影/木村哲夫、ヘアメイク/KUBOKI(Three PEACE)、スタイリング/丸本達彦(UNFORM)、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO、衣装協力/コート、カーディガン、Tシャツ、パンツ/cantate、靴/Scye]
松下洸平 [撮影/木村哲夫、ヘアメイク/KUBOKI(Three PEACE)、スタイリング/丸本達彦(UNFORM)、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO、衣装協力/コート、カーディガン、Tシャツ、パンツ/cantate、靴/Scye]
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 朝ドラ「スカーレット」で演じた十代田八郎(そよだはちろう)役で注目され、当時“八郎ロス”という言葉まで生んだ松下洸平さん。穏やかな空気をまといながら、見る者の心をつかむ存在感を持ち、演技、音楽、絵画や連載エッセー執筆と引き出しは多い。今春主演する「夜来香(イエライシャン)ラプソディ」は、戦時中の上海を舞台にした音楽劇だ。

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──昨年は映像や舞台だけでなく、歌手としてのメジャーデビューやバラエティー番組出演など、活動の幅を広げられました。主演の音楽劇が控えますが、見どころは?

 話の舞台となった第2次世界大戦末期の上海は、租界が設定されていたこともあり、異様な華やかさを持った街でした。一方で、当時そこにいたのは、戦時のいろんな情勢を乗り越えてきた人たちです。きらびやかな世界観と、その裏で起きていた闇の部分を、同時に描いていくので、光と影が交錯した、見応えのある作品になるのではないでしょうか。

 この作品の華やかな部分としては、当時の上海にあったジャズという音楽と、その音楽に酔いしれ、ほれた人たちが描かれます。今回、実際にジャズバンドの生演奏も入りますし、生の歌と演奏は楽しんで頂けるポイントかと思います。

──演じるのは、作曲家・服部良一の役です。シンガー・ソングライターとして曲作りをする、自身との共通点は?

 いろんな時代をくぐり抜けていく中で、何事にも音楽最優先の方だったと思うんですね。音楽にすべてをささげた服部さんの姿と、自分に似ている部分があるとしたら、僕自身も芝居が好きで、音楽が好きで、何はともあれ仕事が好きということでしょうか。

 服部さんは、軍歌ばかりが席巻していた当時の日本で「戦中、戦後の日本に必要なのは上を向いた音楽を聴くことだ」と考えていたそうです。だからこそ歌謡曲にジャズの要素を取り入れた、ポップで楽しい音楽を作り出されたのではないかと。

 僕自身が曲を作るときも、この曲が誰かのためになったり、誰かの背中を押したりできたらいいな、と思いながら作ることは多いです。

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