通常、1年のうち6ヶ月は海外で作品を観る。1月はロス、2月はメキシコ、3月はニューヨーク……各所の展覧会を回るだけでもスケジュールは埋まっていく。ピンときた作品があればアーティストのスタジオを訪ね、会話を重ねる。このアーティストは人種差別をなくしたいのか、LGBTの差別で苦労したのか……そんな旅のなかで、時にガツンとした衝撃に出会うことがあるという。
「いい作品に出会うと、これまでの価値観や考えがひっくり返されて、ボコボコにやられた感じになる。アドレナリンが出て、でも目の前の作品にはどうやってもかなわなくて、ただ立ちすくむしかない。その感情に出会うため、日々作品を探しています」
バブル期にアート作品を買い集めた日本人は多いが、バブル崩壊でその多くを手放した。30年ぶりにやってきた今回のアートブームで、本物を見極め手にできた人が、将来の資産を手にすることになる。
〇塩原将志(アート・オフィス・シオバラ代表)/アート・ディーラー、アート・アドバイザー。1987年株式会社日動画廊入社。ギャラリー日動ニューヨークINC.代表。2000年タグボート創始時期よりアドバイザーとして参画。04年より現職。2月18日まで、企画協力を担当した「SMBC meets Contemporary Art」を三井住友銀行本店東館で開催中。
(監修/高橋紀成、文/メディアプロデュース部)