俳優として第一線で、40年以上活躍する宮崎美子さん。公開中の映画「猫と塩、または砂糖」では、主人公の母親役を演じています。役者にとどまらず、クイズ番組でも知性派として大活躍。その博識ぶりは圧巻です。そんな宮崎さんが、作家・林真理子さんとの対談で、仕事からプライベートまで語ってくれました。
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林:宮崎さんは週刊朝日の表紙でデビューして今年で42年なんですね。これまでのいろんな発言を聞いてると、「アルバイトから始めちゃったし」みたいなことをおっしゃってますよね。
宮崎:それは謙虚で言ってるんじゃなくて、自己肯定感の低さなんですよ。「私を見て!」っていうのがあれば、そういう人生を送ったんでしょうけど、いつまでたっても自己肯定感が低いから。
林:40年以上第一線で、女優さんとしてやってらして、なんで自己肯定感が低いんですか。
宮崎:役者としてあまりうまくないからでしょうね。デビューしたときに占師さんに手相を見てもらったら、「あなた、踊りも歌もお芝居も一生うまくはなれないけど、仕事は続けていけます」って言われて、「そうだな」とそれをずっと信じてます(笑)。「なぜそこまで?」って感じですけど。
林:あんまり信じなくてもよかったのに(笑)。
宮崎:「必ず自分はうまくいく。誰からも愛され、思いのままに生きていける」と思って育ってきたら、人生楽しいだろうなと思います。私、林さんの『奇跡』を読みましたけど、あの方(田原博子)すごいなと思いました。強いし自分を貫けるし。
林:ありがとうございます、読んでくださって。だけど、博子さんは違うけど、「私ってすごいのよ。この前もみんな寄ってきて……」って言う人いるじゃないですか。そういうあまりにも自己肯定感が強い人って、一緒にいると疲れちゃいますよ。
宮崎:そっか……。
林:宮崎さんは先輩の女優さんにすごくかわいがってもらったんじゃないですか?
宮崎:デビューしたとき(ドラマ「元気です!」)、河内桃子さんがお母さんの役で、すごくよくしていただきました。そのデビューのドラマが終わったあと、私、「もうちょっとやってみたいんですけど、どう思われますか?」みたいな相談をしたら、「そうよ。もう少しやってごらんになったら」ってやさしくおっしゃってくださって、勇気をいただきました。