資源開発投資など、資源ビジネスが得意なのは大手商社だ。株式市場では“インフレ期待銘柄”として、大手商社を挙げる専門家が少なくない。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、大手商社に注目する。三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、双日だ。大手商社は「資源権益を持っているところが多く、資源価格上昇の恩恵があり、株価も割安」(窪田さん)。
非鉄金属の分野も注目される。住友金属鉱山を挙げるのは、投資情報会社・フィスコの小林大純チーフアナリスト。「非鉄金属の需要が電気自動車や半導体向けに伸びている」(小林さん)
小林さんは、資源エネルギー関連で、大手石油元売りのENEOSホールディングスも挙げる。同社は非鉄金属部門もあり、原油高と「ダブルでおいしい」(同)。
一方、これまでは世界的な金融緩和で低金利が続き、金融機関は運用難で経営が厳しかった。インフレが進むと金融引き締めで金利が上がり、金融機関の経営環境は一変する。
日本は引き締めに動く気配はないが、世界的に長期金利は上がっている。そこで、金融機関株に注目する専門家もいる。松井証券の窪田さんは、3メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループを挙げる。「金利上昇で生命保険会社も運用環境が改善する」(窪田さん)として、かんぽ生命保険、第一生命ホールディングス、東京海上ホールディングス、T&Dホールディングスにも注目する。
「大手金融機関でも海外展開に積極的なところが狙い目」と話す楽天証券の窪田さんは、三菱UFJ、東京海上のほか、オリックスを推す。オリックスは「海外で利益を拡大しており、米ドルの金利が上がるときにプラスに評価できる」(窪田さん)。
フィスコの小林さんは三井住友トラスト・ホールディングスを挙げる。大手信託銀行を傘下に持ち、手数料収益が多く、収益安定性を重視したという。