
■「反共」よりも選挙運動
──旧統一教会と自民党の関係が注目されています。両者を結び付けたのは、「反共」だったと言われています。
そのとおりです。ただ、東西冷戦の崩壊前から(旧統一教会の教祖)文鮮明(ムンソンミョン、故人)は北朝鮮に接近しましたからね。ペレストロイカ(改革)ではソ連にも入っていきました。旧統一教会の初期はキリスト教の中の極端なグループでしたが、現在は東洋のシャーマニズムに近いものがあります。変容しているんですよ。反共というよりも献身的に選挙運動をしてくれるということが、自民党には魅力だったのでしょう。
日本の憲法で言うところの政教分離は、国家が特定の宗教団体を優遇もしくは忌避することを禁止しているわけで、宗教団体が自らの価値観に基づいて政治を行うことは禁止していない。むしろ民主主義の原則からいえば、奨励されるべき価値です。
宗教団体は私的利益を追求しているわけでもなければ、国家の代表でもないわけです。その中間的なところに立っているのが日本医師会や農協といった団体です。モンテスキューが『法の精神』で言っていますが、中間団体は国家の横暴を抑える力があるんです。中間団体が政治に自分たちの代表を送り込んでいく。その業界的利益、宗教的利益というのが国家の一方的な姿勢を抑制します。ですから、十把ひとからげに宗教というものは危ないというのは良くないし、宗教は政治に関わるべきじゃないというのは間違いです。
どんな政治思想を持つ宗教であっても、それがその人の内心にとどまっている、その行動が他者に危害を加えない限りにおいては、許容されないといけないというのが民主主義的な考え方です。そこから踏み外れてしまうのはとても危険です。
これは日本共産党に関してもそう言えます。マルクス・レーニン主義という、今は科学的社会主義と彼/彼女らは言っていますが、その考え方が正しいから革命を起こして日本を良くしたい、それしか道はないと思っている人たちの心情は、当然尊重されないといけません。