断っておくが「メダル至上主義」を批判しているわけではない。選手の選択で「メダルを取ること」を最優先に置くことは素晴らしいことである。そうではなく、「メダルを取らなければ日本に帰れない」といった重圧は排除すべきであるし、それを選手が考える必要はないということだ。

 今年度は夏に東京五輪があり、冬に北京五輪という特別な年となった。いろいろな競技の選手のパフォーマンスを見て、一喜一憂してきた。勇気を与えてくれたすべてのアスリートに感謝の思いでいっぱいである。

 プロ野球もキャンプは終盤となり、これからオープン戦などの対外試合が本格化する。選手それぞれに思うことはあるだろう。特に若手でレギュラーを目指す選手に言えることだが、オープン戦で「自分は何をしたいのか」をしっかりと考え、そのための実戦にしてもらいたい。目標とその過程をしっかりと見定めながら、ブレずに日々を送ることである。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2022年3月4日号

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