アニメ「鬼滅の刃 遊郭編」はファンから“神作画”と呼ばれ高い評価を受けた(画像は新宿駅地下・メトロプロムナードの大型広告より)
アニメ「鬼滅の刃 遊郭編」はファンから“神作画”と呼ばれ高い評価を受けた(画像は新宿駅地下・メトロプロムナードの大型広告より)
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 「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」のヒットで、快進撃が続いているアニメ業界。「鬼滅の刃」は一昨年公開された劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」が、日本映画の興行収入記録となる400億円を突破した。21年10月から22年2月にかけてはテレビアニメ2期が放送され、1期を超える映像のクオリティーなどから、Twitterなどでは「神作画」と話題を集めていた。

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 「呪術廻戦」も、「劇場版 呪術廻戦0」が現在全国の映画館で上映されており、興収116億円(2月22日時点)を超える大ヒットとなっている。

 DVDやブルーレイなどのビデオパッケージ販売のうち、アニメそのものの存在感も増している。一般社団法人日本映像ソフト協会の調べによると、2020年のビデオパッケージの売り上げは1371億円で、このうちアニメは全体の22.1%を占め、1位の音楽(邦楽)の33.4%に次ぐ2位となっている。今やアニメは、実写のドラマや映画よりも大きい市場を形成しているのだ。

 AmazonプライムやNetflixなどといった映像配信サービスでも、視聴ランキング上位にアニメが入ることは珍しいことではない。消費者が支払った金額を推定したアニメ産業の市場規模も、20年はコロナ禍に見舞われたにもかかわらず、歴代2位の2兆4261億円を記録した。日本のエンタメ市場において、アニメはなくてはならない存在なのだ。

 だが、明るいニュースばかりではない。アニメ業界全体としてみると、内実は厳しい状況が続いているのだ。テレビアニメの制作本数は、2016年の361本をピークに減少が続いており、20年は278本に減った。帝国データバンクの調査によると、アニメを制作する企業のうち、20年は37.7%が赤字に、29.5%が減益となっている。アニメ制作会社のうち、7割弱はいまだ不景気が続いているのだ。一方で、ヒット作に恵まれた大手制作会社を中心に、31.1%の企業は増益となっており、二極化が進んでいる。

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「製作委員会」システムの功罪