2021年度の医学部医学科入試で、女性の合格率が初めて男性を上回った。18年の不正入試発覚後、合格率は改善された。だが、合格者数そのものは依然として男性のほうが多い。AERA 2022年3月7日号の記事を紹介する。
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「各大学の試験が公正に行われた結果だと思います。受験生の努力が報われます」
関東地方にある国公立大学の医学部生、三浦さくらさん(30代)はそう語る。2018年に医学部医学科がある大学で女性や多浪生を不利に扱ったり卒業生の子らを優遇したりした不正入試が発覚した後、東京医科大学、順天堂大学、昭和大学から「合格していた」と連絡を受けた女性だ。
医学部医学科を置く全81大学の21年度入試で、女性の合格率が男性を上回ったことが明らかになった。文部科学省が18年に13年度以降の入試データを公開してから初めてのことだ。
21年度入試では、女性の平均合格率は13.60%で、男性の13.51%を0.09ポイント上回った。不正入試が明らかになる前の13~18年度は男性が10~11%台、女性が1桁台の合格率だった。
合格率で女性が男性を上回った大学が半数を超えたのも初となった。
東京医科大学の卒業生で精神科医の香山リカさんも、こうコメントを寄せた。
「入学試験の学力試験、面接試験でも女性受験生が公平に評価された結果、女性の医学生が増えるのはとてもうれしいです」
現場でも実感があるという。
「近年、東京医大病院でときどき仕事をしていますが、若いドクターたちをいちいち性別で意識することもないほど、女性医師が増え、また活躍しています」
なくなった厳しい質問
入試はどう変わったのか。医系専門予備校メディカルラボ・本部教務統括の可児良友さんはこう語る。
「受験生に聞くと、以前は特定の大学で、女性に圧迫面接に近い厳しい質問をされることがありました。『患者対応中にお子さんが熱を出したから迎えに来てほしいと連絡があったらどうするか』『夫が海外赴任になったら、ついていくか』といった答えにくい質問です。そうした問いはなくなったようです」