放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、ウクライナで起きている戦争について。
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自分の仕事場があるオフィスの下の階を利用してシェアオフィスをやってます。利用料などは取らず、今は5社、若者たちが日々切磋琢磨しております。全員20代。彼らと話すことで、リアルな今の若者の温度がわかったりして、とてもおもしろいです。
先日、そんなシェアオフィスの若者A君が「Tikotokでウクライナの投稿がかなりあるんですけど、あれ見ると、やっぱり戦争って怖いんですね」と言っていた。
戦争は怖い、恐ろしい。当たり前かもしれないが、それを心からリアルに思えることって正直なかなか難しいことだと思う。
自然災害も怖いのはわかっているが、実際に近くで起きて、その怖さを本当に感じる。
僕は「他人事」と「自分事(じぶんごと)」という言葉をよく使うのだが、どんなことも、自分の身に起きて初めて「自分事」になると思ってる。
だから、戦争というものが、A君の中では、Tiktokを通して、「自分事」になったのだ。これってすごいことだなと思う。テレビで戦争のニュースが流れていても、それを「自分事」として受け取れない人は沢山いるだろう。
A君の中では毎日、Tiktokの中からたくさんの「リアル」を受けとっている、そこで見た、全然違うリアル。ウクライナの人が家から撮影したジェット機が飛ぶ映像が、爆撃音の鳴る映像が、Tiktokから流れてくるからこそ、今、この恐怖を経験している人が本当にいて、もしかしたらこれが自分にも起きるのかもしれないと思う。
話は変わるが、SMAPの曲「Triangle」が発売から17年たって反戦歌として話題になっている。
誰もが知ってる曲「世界に一つだけの花」がシングルで発売されたのが2003年。この曲は2005年。僕は、歌って歌の中身が歌う人のサイズに合ってないと、なんかそこにリアリティーがなくて、たくさんの人には届かないと思っている。その歌がどんなに良くても。