ナンバー1だった彼らが「オンリー1」と歌う「世界~」は当時の彼らのサイズにピタリとハマっていたからこそ、大ヒットしたのではないか。そしてこの曲「Triangle」は、静かなメロディーだが強い歌詞。とてもいい曲であることは最初から分かった。

 ただ正直言うと、彼らがこの歌を歌う時、「いい歌だな~」と思ってはいたが、なんだか、サイズがピタリとハマってないんじゃないかと個人的に思っていた。

 あれから17年。今、SMAPは解散して存在しない。そんな中で聞いたSMAPの「Triangle」はピタリと合っている気がした。

 解散しているのに、17年たっているのに、曲がピタリと合っている気がするのだ。より沁みる気がしてならない。不思議だ。曲は育ち続けるのだなと。

 もし「SMAP×SMAP」が続いていたら、今週の放送では緊急生放送にして、この曲を歌っていたのかなとか思ったりする。そんなことをツイッターで呟いたら、中には、「反戦歌なんていくらでもあるだろ?平和ボケだな」と言っている人もいた。

 その気持ちもわかります。反戦歌だってたくさんあるのはわかる。だけど、今、このタイミングで、対岸の火事と思ってしまいそうな戦争を、この曲を通して、少しでも自分事にとらえる人が増えることがとても大事なことだと思うんです。Tiktokで自分事と思った彼のように。それを平和ボケと嘆かれても、それが現実である。

 大事なのは、「戦争」というものを、他人事だと思っている人に、まず、自分事になってもらうこと。そのきっかけは増えるほどよい。

 Twitterの中で、僕のことを「いつまでSMAPの話してんだよ」的なことを書いてる人もいた。

 そう言いたくなる人の気持ちもわかります。だけど、それでもいいんです。こういう記事がきっかけで、一人でも、自分事になってもらえれば。

 トライアングルが、もっともっとたくさんの人を繋いでくれることを願います。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)は発売中。「お化けと風鈴」はLINE漫画でも連載スタート。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。作演出を手掛ける舞台「怖い絵」が2022年3月に東京・大阪にて上演。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?