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 コロナ禍で閉じこもりがちな高齢者を狙い、言葉巧みに契約させ、高額な請求をする悪徳商法が後を絶たない。すぐに契約せず、まずは相談しよう

【あなたは大丈夫?狙われる高齢者の特徴はこちら】

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「いま、アナログに戻すと安くなりますよ」

 そんな勧誘で、高額な費用を請求する「アナログ戻し」という新手の商法をご存じだろうか。

「インターネットは使わないから月々の光回線の使用料が無駄だな」と考えている人は要注意だ。国民生活センターへの相談事例を紹介しよう。

 ある70代の男性も、そう思っていた矢先に勧誘を受けた。この機を逃しては、と言われるがままに申し込むと、請求されたのは、工事費4万円+月2千円の「補償サービス料」という意味不明な支払いだった。

 同センターによると、ここ数年、この「アナログ戻し」被害者からの相談が増えているのだという。昨年4~12月の相談件数は前年同期と比べ約2倍の1684件。3年前の5倍以上の伸びだ。

 NTT東日本の広報室は、「アナログに戻すのに多額の工事費はかかりません。少なくとも光回線を廃止する費用は発生せず、アナログ回線の新設は実際の工事内容により変動があるものの2千円からで、かかっても1万3千円ほどです」と説明する。そもそも、アナログに戻すことを勧めることはないという。

 高齢者がひっかかりやすい勧誘文句“その2”は「自宅を売却しませんか」だ。

 昨夏、関東圏のマンションで一人暮らしの80代の女性に、電話があった後でこんな訪問があった。

「お宅を売りませんか。現在は400万円ですが、来年になったらタダ同然になります。今なら老人ホームを紹介します」

 女性はもっと高く売れると思ったものの「老人ホームの紹介」の言葉に引かれた。よくわからないまま、次々置かれる書類に言われるとおりに署名・押印し、手付金も振り込んだ。退去の準備も求められたが、老人ホームの紹介はなく、どうしたものかと国民生活センターに相談したという。

 ほかでは、80代の高齢者が、朝10時から夜9時半まで、自宅を売らないかと勧誘を続けられ、強引に契約させられたり、契約解除を申し出た際に900万円の支払いを要求されたりした例もある。

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