主演のウィル・スミスは、本作「ドリームプラン」(レイナルド・マーカス・グリーン監督)でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。受賞の確率も高いとの噂。リチャードの妻を演じたアーンジャニュー・エリスも助演女優賞にノミネート。テーマ曲をビヨンセが歌うのも話題だ。
今や、女子プロテニス史に名を残す2人の偉大なプレーヤー、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹。
その父リチャード(ウィル・スミス)は、テレビで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て、「子どもを最高のテニスプレーヤーにしよう!」と決意。テニス未経験にもかかわらず、独学でテニスの教育法を研究し、78ページにも及ぶ成功への計画書を作成。誰もが驚く常識破りの“ドリームプラン”を実行した。ギャングがはびこるロサンゼルス郡南部の公営のテニスコートで、リチャードは途方もない苦難や周りからの批判を受けながらも、数々の問題を乗り越え、娘たちを史上最強のプロテニスプレーヤーに育て上げていく──。
本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
スマート、軽妙のイメージを捨てたウィル・スミスが、娘たちをテニスで成功させようとひたすら突っ走る黒人一家のアメリカン・ドリームに挑む。どう見てもオスカー像が欲しいのだ、としか思えないがこの一途さは悪くない。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
姉妹が強くなれば、黒人の選手として注目されるのは避けられない。南部で育ち、差別を経験してきた父親が立てた計画は、姉妹を守るためのものでもあり、それがなければ彼女たちの未来はまったく違っていたかもしれない。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
明確なプランがどれだけ大事かわかりますが、あそこまで作ったものを守る執念はスゴイ! 当然行き過ぎたときの崩壊はかなり痛い。良いお父さんの側には必ず強い奥さんが。彼女の言葉に涙。清々しくて、気分爽快に!
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
才能の可能性を信じることを描いて成功している。主人公が実在の頑固で偏屈な人物なのが良い。ウィル・スミス主演で同じく父親が奮闘する「幸せのちから」とともに、市井の人が夢を諦めない作品として語り継がれるだろう。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2022年3月11日号