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 長く軍事的中立を守ってきたスウェーデンとフィンランドのNATOに加盟にロシアが両国への軍事施設設置を危惧しているという。北欧を中心とした欧州国際政治が専門の大島美穂・津田塾大学総合政策学部教授に聞いた。AERA 2022年8月8日号の記事を紹介する。

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——―スウェーデンとフィンランドのNATO加盟で具体的に何が変わるのか。NATOの永続的な軍事基地を2国に置く可能性はあるのか。ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、「両国に軍事施設が置かれれば相応の対抗措置を取る」と警告している。

大島美穂教授(以下、大島教授):「私は置かない方向になると見ています。1949年にノルウェー、デンマーク、アイスランドがNATOに加盟したときにも、当時のソ連はノルウェーに2回、覚書を出しています。最初は『外国の軍事基地を置くな』、次は『加盟するならソ連とも不戦条約を結べ』と。ノルウェーは『ソ連との友好関係を持ち続ける。理解してほしい』と答え、後者は拒否しましたが、返事はありませんでした。結果としてノルウェーは軍事基地を置かず、北部での軍事演習も21世紀になるまで禁じられてきました。スウェーデンもフィンランドも『ロシアが言うのだからしかたない』というエクスキューズを利用して、『置かない』という『ノルウェーフォーマット』を考えているのでは。実質はNATOに加盟しているけれども、平時においては軍事的に緩衝地帯を維持する。そんな形を模索するかもしれません」

——―加盟でロシアとの関係が悪化する懸念はないのだろうか。

「経済面で言えば、スウェーデンは輸出入の対ロシアに占める割合はわずか1~2%。ただ、フィンランドの対ロシア輸入は12%ほどはあり、国内にあるロシア企業の支社約20社も年間約37億ユーロ(約5100億円)の売り上げがある。ロシアとの関係を完全に切るのは難しい状況です。エネルギーもロシアの天然ガスに一定割合依存している。ただ、石油輸出国であるノルウェーから石油を輸入するなどの解決策は考えられますし、経済的にロシアに完全に首根っこを押さえられているわけではありません」

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