アンジェス株価の株価の動き
アンジェス株価の株価の動き

 同年5月の寄付の会見後には、1565円となり、6月の「大阪産新型コロナのワクチン開発」発言後の翌17日には2163円まで急騰した。

 その後、アンジェスのワクチン開発は進まず、株価は徐々に値を下げはじめる。そして21年11月、アンジェスは治験の十分な効果を得られず、最終段階の治験を断念すると発表し、「白旗」をあげた。発表直後の株価は大幅下落し300円台になった。3月11日現在の終値は293円だった。

 森下氏は大阪府、大阪市とは深い関係がある。25年開催予定の大阪・関西万博では「2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会」の総合プロデューサーを務め、府と市の特別顧問の肩書もある。

 森下氏はアンジェスのIR情報で0.45%の株式を保有する大株主としても名を連ねている。

 政府や行政が上場会社の名前をあげて発言する場合、通常は株式市場が休みに入る、金曜日午後3時が過ぎてからと「暗黙の掟」になっている。マーケットに影響を与えないためだ。

 だが、吉村知事の場合は、20年5月25日のツイッターは月曜日、同年6月17日の会見は、水曜日と異例の掟破りだった。吉村知事と株式市場の問題はこれだけではない。

 20年8月4日、吉村知事は「ポビドンヨード」入りのうがい薬が新型コロナウイルスに効果があると唐突に発表した。この日は火曜日で株式市場が終わる午後3時より前に会見が開かれた。うがい薬の大手メーカーの株価はマーケットが終わる直前、大幅にアップ。ドラッグストアの棚からうがい薬が消えたと報じられた。

「吉村知事は大阪にゆかりがあると思えば、事務方と打ち合わせず、すぐに企業や個人名をあげてしまうんですよ。本人はいいと思ってやっているようですが、株式市場などを混乱させてはと、周囲はヒヤヒヤしている」(前出・大阪府幹部)

 その一方で、大阪府の新型コロナウイルスの現場は今も混乱が続く。

 大阪府が新型コロナウイルス感染者向けに設置した、自宅待機SOS(自宅待機者等24時間緊急サポートセンター)でトラブルが発覚したのは3月8日。

<保健所の入院調整担当者向け>として<入院調整申請が900件あります>という情報が発信された。

「900人もの新規感染者が入院できないのかと驚いた」とSOSサポートセンターのスタッフは話す。

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