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 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「食道がん手術」の解説を紹介する。

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 食道は、口から食べた物を胃へと運ぶ、長さ25センチ、太さ2~3センチ、厚さ4ミリ程度の管状の臓器だ。食道がんはこの食道に発症するため、進行すると飲食物の通過に支障をきたし、「生活の質(QOL)」を落としてしまう。また、食道上部は気管と背骨の間にあり、食道下部は心臓、大動脈、肺に囲まれているため、食道壁の外までがんが広がってしまうと、周囲の臓器に転移しやすい。

 ごく早期の粘膜層に留まっている0期のがんは、先端にメスを装着した内視鏡で切り取る「内視鏡治療」が可能となる。現在は「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」という、粘膜を一括で剥ぎ取る治療が標準的だ。0期でも、食道の壁を一周しているがんや、長さが5センチ以上のがんは手術が必要になる。

 食道がんの自覚症状は、飲食物を嚥下(えんげ)するときにのどがしみたり、引っかかり感があったりするというものだ。0期からI期は自覚症状が出にくく、症状がある場合はII期やIII期の進行がんの可能性が高い。

■治療効果や再発率などから適切な治療法の選択を

 I期では手術が標準治療だが、状況によって手術または「化学放射線療法」のいずれかを行う。化学放射線療法は手術と同じくらいの治療効果が得られるという報告がある。

 進行がんは手術が第一選択になる。化学放射線療法で根治を目指す選択肢もあるが、再発率が手術より高い。さらに再発した場合は、化学放射線療法で組織がもろくなった食道に手術をすることになり、難度は高くなる。

 III期では、「術前化学療法」でがんを小さくしてから手術をおこなうのが標準的だ。これまでは術後の治療はおこなっていなかったが、2021年12月に免疫チェックポイント阻害剤の「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」が食道がんに保険承認されたことで、今後は「術後化学療法」が標準的におこなわれるようになる見通しで、治療成績の向上が期待される。

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進行がんの場合の治療選択の一例