突然会社をやめて喫茶店を開いたのに「飽きた」と2年でやめてしまった父の話や、初主演映画「博多っ子純情」の現場体験など、肩ひじ張らない文章が心地よい。長年のファンというクレイジーケンバンドの横山剣さんと対談した話もある。
「うちにあるアルバムを全部持って行って『これ持っています、これも』と自慢しちゃって、横山さんは『ああ、ありがとうございます』って。自分の思いだけ語ってしまって、ぜんぜん対談になっていない。あとで落ち込みましたよ」
最近少しうれしかったことを聞いてみた。「いまコロナだから外に食べに行ったりできないんで、ちょっとだけ遠出していい肉を買って家族で焼いて食べたんです。おいしくてほぼ全部、俺が食べたことかなあ」
笑顔のあと、「難しいこと言えなくて、すみません」。
(朝山実)
※週刊朝日 2022年4月1日号