江口のりこさん(右)と林真理子さん  [撮影/写真部・高橋奈緒、ヘアメイク/廣瀬瑠美、スタイリング/清水奈緒美]
江口のりこさん(右)と林真理子さん  [撮影/写真部・高橋奈緒、ヘアメイク/廣瀬瑠美、スタイリング/清水奈緒美]

林:「お勢、断行」って、江戸川乱歩の「お勢登場」の主人公をモチーフにした舞台なんですね。大正末期から昭和初期にかけての乱歩チックな世界を……。

江口:江戸川乱歩さんの小説が持つ蠱惑的な雰囲気をしっかりと残しつつ、少しコメディー要素もあるという感じで、私はセコいお手伝いさんの役。コソ泥なんかもしたりするんです。

林:楽しみです。世田谷パブリックシアターって、芝居好きの見巧者が来るから、やりがいがあるでしょう。

江口:私、どんな人が見に来るとか、あんまりそういうことは考えないんですね。考えたほうがいいのかな。

林:江口さん、コロナで延期になったこの2年のあいだにすごいブレークですよね。「半沢直樹」(2020年)にもお出になるわ、今年の大河ドラマ(「鎌倉殿の13人」)にもお出になるわ、「SUPER RICH」(21年)では主役もやられたし。

江口:この2年間で世間の人に名前を知ってもらうことが増えたとは思うんですけど、その前からそれなりに舞台もドラマも映画もやってたんです。自分がやってることはぜんぜん変わらないのに、視聴率がよかったり、見てくれる人が多くなったりというだけでこんなことってあるんやなあ、という感じですかね。

林:人気者になってから舞台に出ると、出た瞬間、客席がどよめくじゃないですか。「おっ!」て。

江口:ハハハ、何もどよめかないですよ。

林:いや、今度はどよめきますよ。2年前までと違って。

江口:どよめかないですって(笑)。舞台を見に来てくれる人は、テレビに出ているからって「ワ~ッ」というのはないですよ。

林:でも、このお芝居のチラシを見てパッと目を引くのは江口さんじゃないですか。「あ、江口さんが出てる」って。それってすごいことだと思うけど。

江口:そうですか……。

林:私、江口さんを初めて拝見したのがドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16年)で、ちょっとイジワルな校閲部のおねえさんでしたけど、この人メチャクチャおもしろいなと思ったんです。

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