入院期間は、片側でリハビリを含めて2週間程度。両側同時では2週間半程度だ。早期の社会復帰ができるため、人工股関節置換術が選択されるケースは増加している。

 一般に、痛みの改善効果は高い。また、衝撃の少ないウォーキングやゴルフなどの運動であれば、再開することが可能だ。

 人工関節の性能の向上により、耐用年数は20年超に延びた。かつては70歳以上が対象とされていたが、対象年齢の幅が広がっている。

「60代以降の人で進行期から末期であれば、人工関節を選択する確率が高いです」(馬渡医師)

 手術の技術も進歩している。より精度を高めるためのナビゲーションシステムや、安全性を向上させるためのロボット手術も普及しつつある。

■術後は年1回の状態チェック

 人工関節には、術後にゆるみ、脱臼、感染などの合併症が発生することがある。技術があり信頼されている病院には、入れ替えの再置換の紹介が多い。

「術前に、合併症リスクについてきちんと患者に説明があるかどうかも病院の評価ポイントです」(馬渡医師)

 さらに、術後に長期間のフォローアップをしてくれる病院を選べば安心できる。

「人工関節は、術後も年1回は状態をチェックします。最近では再置換術の技術が向上し、早めの部分交換によるメンテナンスで、一生マネジメントすることも可能になってきました。術後は調子が良くても、きちんと定期検診を受けて、いい状態を維持しましょう」(古賀医師)

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので、参考にしてほしい。
「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【取材した医師】
佐賀大学病院 整形外科教授 馬渡正明 医師
さいたま赤十字病院 整形外科部長 古賀大介 医師

(文/坂井由美)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より

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