3月25日に公開され、3日間で観客動員45万人を突破。2022年の邦画No.1スタートを切った映画「おそ松さん」に主演したSnow Manから、向井康二さんがAERAに登場。映画で演じた長男・おそ松のセリフに、自身を重ねた。2022年3月28日号の記事を紹介する。
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「ちょっとは下心もあるんよ」。兄弟のために自分を犠牲にするというおそ松のセリフ、「一人ぼっちになる役目くらいは、長男が引き受けた方がいいんじゃないかなって」を、向井康二はそう分析した。「気持ちとしては100パー(セント)で言ってるけど、でもたぶん、見返りがほしい気持ちもあるのよ。おれもそうで。誰かにドア開けるとするじゃん。ありがとうがほしいから開けるわけ。誰にも見られていないのに、やさしいことしたとてさ、意味ないやん? ま、するけど……。でも、おそ松もそういうことやろ?」
そう嘯(うそぶ)くが、誰かが困っていると即座に気づいてさっと手を差し伸べる向井のやさしさは、紛い物ではありえない。
果敢にボケてツッコむにぎやかさゆえ、Snow Manではバラエティー・お笑い担当と見る向きもあるだろうが、その実、驚くほど全方位的にアイドルだ。ステージでは甘やかな声で歌い、キレのいい踊りを見せる。カメラに造詣が深く、彼にしか引き出せないメンバーの姿を写真に捉える。ファッションコーディネートを提案する妄想力とセンスを発揮したかと思えば、対談には事前に学んで臨む真摯さを見せ、彼女へのメールのようなブログを毎日こまめに届ける。4月からは役者として連続ドラマ「特捜9」にも出演するという。多才すぎて、目指しているところがわからないほどだ。
「なに目指してるって言われるとな、難しいよな。まあ、向井康二を貫く、じゃない? やりたいことやりたいしね」
では、いちばん叶えたいことは?と問うと「平和ですね!」と返ってきた。「何言っても許される世界にしたいよね。各々のさ、考え方があるやん。何したら悪いとかさ、(叩くのを)見るのも嫌やしね」
壮大な願いだが、向井なら成し得るかもしれない。類は友を呼ぶのか、この人に恥じない存在でありたいと願わせるのか。彼の周辺はやさしさとあたたかみに満ちている。ファンが増えるほど、世界が平和に近づく。それはアイドルとして理想だろう。(編集部・伏見美雪)
※AERA2022年3月28日号