AERA 2022年4月4日号
AERA 2022年4月4日号

――「オリンピックまでの時間」と語ったが、ほかの選手が4年間スノーボードに打ち込む中、東京五輪にスケートボードで出場した。新型コロナウイルスの影響で東京五輪の開催が1年延期されたことも重なり、スノーボードに費やせる時間はわずか半年だった。むしろ不利なように思える。

平野:確かに、みんなと比べたらスノーボードをしている時間はなかったんですけど、不安と闘いながら、それを全部受け入れてどうにかしなければと思えるまでになった。今までは追われる立場だったのが、みんなを追い抜かしていく立場になったことも、すごく力になっていたと思います。

■難しい道のりを選ぼう

――2018年11月、ユニクロのグローバルブランドアンバサダー就任記者会見で、スケートボードで東京五輪出場を目指すと宣言し、スノーボードとの「二刀流」への挑戦が始まった。こだわったのは「誰もやっていないこと」だ。

平野:(2018年の)平昌のときは、4年間オリンピックのためだけにやってきた。でも、そこまで意識して、そこまで全てやり切っても、金メダルが確実に取れるということはないと思った。それと、チャンピオンはコロコロ変わる。トップは1人しかいない世界だから、来年には違うチャンピオンがいる。結果だけ見ると、きりのない世界なんですよ。だから、人と競い合うよりも、自分の道のりを選んで、人と比べなくてもいいようなことに専念したいなという気持ちが出てきて。スノーボード以上に難しい道のりを選ぼうと思って、スケートボードでオリンピックを目指しました。

■ベッドに入るまでオン

――スノーボードでの「人類最高難度のルーティン」への挑戦も、「誰もやっていないこと」だ。どのくらい練習を積んできたのか。

平野:練習自体は半年間です。でも、トリプルコーク1440を入れたあのルーティンは北京オリンピックでやりたいとずっと思っていて、スケートボードのトレーニングに専念していた時期も、夜寝る前とかに自然とスノーボードをイメージしていました。

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