論争をすれば、お互いが自分自身を正当化し、相手を言い負かそうと躍起になるものです。当然ですが、言い合いで負けたほうは、ひどく不快感を覚えます。勝ったほうは、一時的にスッキリするかもしれません。しかし、勝ったことは、決してよい方向に動くとは限らないのです。
打ち合わせは非常に殺伐とした空気に包まれ、険悪なものとなり、お互いの足を引っ張るような意見の出し合いになる可能性もあります。また今後の関係にも、ひびが入る可能性は大いにあります。
■トラブルの芽を利用して勝機にする
そんな時、 たとえば自分が待たされた側だとしても、最初から言い争うスタンスをとらずに、「こちらの連絡に、どうやら不備があったようです」と謝罪し、場を収めてみたらどうでしょうか。するとAさんのグループもスッと冷静になり、「こちらこそお待たせして大変申し訳ない」という穏やかな会話になるはずです。多少の言い訳はされるかもしれませんが、それでも反論するのではなく、意見を尊重する姿勢を貫いていれば、話はすぐに解決するでしょう。今後はすれ違いが起こらないように、きちんと確認できるシステムをつくろうという、ポジティブな取り決めもできます。
さらに言えば、Aさんのグループは、相手を待たせた申し訳なさから、打ち合わせで、自分たちのグループを持ち上げるような態度を取ってくれるかもしれません。
言い争いが起こりそうになった時は、最初から「負けると決めておく」という作戦をたてておくと、相手との関係を悪化させるどころか、さらによくする可能性まで秘めています。いうなれば、「試合で負けて、勝負に勝つ」です。
■言い争いと話し合いは違う
実は、論破王と呼ばれるひろゆきさんも、「『いかにして競争せずに幸せになるか』を意識すること」が大事だというように、語っているのを聞いたことがあります。 競争をすると、必ずそこに敗者が生まれてしまうため、負けたほうは劣等感を抱き、幸せになれないのだとか。
もちろん、親しい友人や仕事の取引先の人との「話し合い」は、建設的な意見を出すためのものならば、どんどんすべきだと思います。
しかし、「相手を言い負かそう」という気持ちでする議論は、単に誰かを不快にするだけのものが多いため、早々に負けておいたほうが、お互いのためになると思います。議論の本当の勝ち方というのは、負けたようにみせて、相手の気持ちをうまく誘導することなのかもしれません。