自由な校風で知られる京都大学。卒業後の進路も多様で、在学中に起業する学生も増えている。今回はDeМiA代表取締役 坂本京也さん(工学部)を取り上げる。
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京大工学部出身の坂本京也(けいや)さん(22)は、ウェブサイトの制作やアプリ開発を手がけるITベンチャー企業「DeМiA(デミア)」(京都市左京区)で代表を務める。京大の目と鼻の先、百万遍のビルにオフィスを構え、授業を終えた学生らがサークル感覚で集う。所属するメンバーの9割以上は京大生で「変人も多い」と語る。
「僕の考える『変人』は独自の哲学があり、その視点から物事を解釈できる人たちのこと。一見理解できないことを言っていても、自分よりも理解が進んでいるということかもしれません。なのでメンバーの意見は極力、否定しないよう心がけています」
幼いころからものづくりが好きで、小学生のときからプログラミングに親しんだ。中高一貫の私立校、北嶺(札幌市)に入り自らロボット部を設立。中学生でロボカップジュニア世界大会で優勝、高校時代には筑波大で行われる高校生向けのエンジニアプロジェクトに参加し、その成果を国際学会で論文として発表した。
京大を志望したのは、大会で京大の学生や教員と触れ合ったことがきっかけだったという。
「周囲からは否定されるような意見も、一度受け止め、建設的に議論を広げてくれる。その姿勢に感銘を受けました」
大学に入ってすぐ、同級生で現取締役の梅木優作さん(23)と知り合い、学生団体「AkaDeМiA」を立ち上げた。学内を中心にウェブサイト制作などの業務を請け負っていたが、徐々に学外からも依頼が増えたため、2019年8月に法人化した。
この春に大学を卒業し、4月から会社の事業に専心する。学生団体を作ったときから起業を意識し、一般企業への就職は考えなかった。
「例えば八百屋さんのように、事業を自分で手がけるのは商売の自然な形。起業の道を選ぶ学生がもっと増えてもいい」と話す。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2022年4月8日号