「ESDは、認定施設でないとおこなうことができません。病院のホームページには、対応できる疾患や治療方法などが掲載されているので確認するとよいでしょう」(林医師)
治療後の病理検査を正確におこなうためにも、がんをきれいに一括切除することが重要であり、病変に合わせて適した方法が選択される。
■深さ以外の因子がすべて陰性なら再発リスクは1%台
内視鏡治療後は病理診断で、がんの一番下の部分まできちんと切除できているか、リンパ管や血管などに浸潤していないかなど複数のリスク因子を確認し、再発リスクを検討する。
「大腸がんステージIの早期がんでは、がんの深さ以外のリスク因子がすべて陰性の場合の再発リスクは全国平均で1・数%程度とされており、術後の最終診断でがんが粘膜下層の深さ1ミリを超えていたと判断された場合でも、経過観察が選択可能になります」(林医師)
一方、再発や転移のリスクが高いと判断された場合には、手術を勧められる。
「リスク因子は陰性だったものの、粘膜下層への浸潤が深さ1ミリを超える適応外と最終診断された場合、手術をするかどうかの判断は難しいところです。高齢の人では経過観察を選ぶことも多く、一方で50~60代の患者さんでは後々のリスクを考えて手術を選択する人もいます」(毛利医師)
経過観察では、半年ごとのCT検査、術後1年の内視鏡検査など、定期的に検査をおこなう。
ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので、参考にしてほしい。
「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/
【取材した医師】
昭和大学横浜市北部病院 消化器センター 講師 林武雅 医師
倉敷中央病院 消化器内科 部長 毛利裕一 医師
(文/梶葉子)
※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より