もともとオミクロン株(BA.1)は、それまでに流行していたデルタ株よりも約3倍、感染の広がる速度が速いとされていた。BA.2はさらに感染が広がりやすいとみられる。
英国の健康安全保障庁(HSA)によると、昨年12月15日~今年3月15日に新型コロナウイルス検査を受けた市民数十万人のデータを基に推計したところ、BA.2の感染が広がる速度はBA.1の約1.75倍、速いとみられるという。
ただし、WHOによると、その差はオミクロン株とデルタ株、アルファ株などとの差よりは小さいという。同じ傾向は都健康安全研究センターの調査でもみられる。同センターによる調査では、BA.2の方がBA.1より感染の広がり方が遅いように見えるデータがあるが、置き換わりがさらに進んだ時点まで観察しないと結論は出せない。
英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどによると、定期的に新型コロナウイルスの検査を受けているボランティア約9万5千人のうち2月8~21日に感染が確認され、ウイルスの遺伝情報が詳しく解析された人が1195人いた。感染経路や、家族や濃厚接触者の感染状況などを詳細に調べて分析したところ、BA.2の方が、BA.1よりも約1.4倍、他の人に感染させやすかった。
(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2022年4月18日号より抜粋