先進国の中でも自己肯定感が極端に低いといわれる日本人。どうやって自己肯定感は高めていけるのでしょうか。オンラインスクールでありながら全米トップ校として知られる「スタンフォード大学オンラインハイスクール校長」の星友啓さんが新刊『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』(朝日新書)で紹介した最新科学によるメソッドを特別に公開します。
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自己肯定感を高めるために、取り入れたいのが「マインドフルネス」のコンセプトです。
核となる考え方は、自分の意識を今感じていることや考えていることに向けて、そうした感覚や考えをそのままオープンに受け入れることです。
マインドフルネスは、今意識にあることをくよくよと複雑にあれこれ考えるのでもなければ、感じたり考えていることを「いい」とか「悪い」とか決めつけることではありません。
素直な自分の気持ちや考えを感じ取って受け入れる心の営み、また、そうした心の営みを引き出すための瞑想法や呼吸法などを、まとめて「マインドフルネス」と呼びます。
マインドフルな心の力を鍛えるとどんな良いことがあるのか?
まず、マインドフルな力で、周りの変化や自分の心の課題にフレキシブルに対応できるので、心が安定しやすくなり、感情を上手にコントロールすることができます。
また、ポジティブな気持ちが維持しやすく、人生の意義や幸福感もアップするなど、様々な心理的効果が確認されてきています。
心の問題や精神疾患などへの改善や予防にも効果があることが知られているので、精神医療での応用が進んでおり、着実な成果が上がっています。
例えば、最近では、マインドフルネスを使った認知セラピーが、うつ病や統合失調症などの治療に応用されています。
それだけではありません。マインドフルネスを身につけることで、集中力がアップして、高度に神経を研ぎ澄ませなくてはいけないような仕事に対するパフォーマンスも上がることがわかっています。
つまり、マインドフルネスは、心に良い影響を与えるだけでなく、頭も良くなる良薬なのです。
こうしたマインドフルネスのいい効果は、大人だけのものではありません。子どもたちにとっても同様にいい効果があります。
集中力だけでなく、認知能力の発達を促進し、感情や社会性の成長もサポート。