平安時代、「南無阿弥陀仏」を唱えて流行病に苦しむ人々を助けようと立ち上がった空也上人。没後1050年、東京国立博物館で特別展「空也上人と六波羅蜜寺」が開催中です。芸人・みほとけさんに空也上人の魅力を伝えてもらいます。
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口から仏さまが現れたとされる空也上人、ものすごい修行を積まれたんだろうなと思います。言葉への説得力があって、魂のこもった言葉を残せるお方だったのではないでしょうか。私も芸人として、言葉で人の心を動かせるようになりたいですね。空也上人のようになりたいです。どうしたらお客さんの胸に自分の言葉を残せるのか、研鑽を積む日々を送っています。
お念仏が仏さまになっちゃうなんて、相当な美声の持ち主だったに違いありませんね。六波羅蜜寺には踊り念仏が伝わっているくらいですから、きっと踊りもお上手だったのでしょう。歌って踊れて、信仰も集めていた。アイドル好きの私には、スーパーアイドル・空也上人のステージが聞こえてくるようです。現代で例えるなら、元ハロプロの道重さゆみさんでしょうか。自身のスタイルを貫き通し、後輩にも大きな影響を与えたパイオニア的存在という点で、空也上人と重なるところがあるように思います。
京都に行く際には必ず六波羅蜜寺に伺って、空也上人立像を拝んでいます。お像の魅力は何といっても、空也さまが一生懸命に歩いている姿。お坊さまのお像といえば、綺麗なお衣を着て座っているものがほとんどかと思いますが、空也さまのお像は歩いている。それも、ほぼ裸足でです。私自身が気を張って、頑張っているような時期にお像を見ると、空也さまも一緒に歩いてくれている気がしてきますね。
※「空也上人ファンクラブ」インタビューから
●東京で半世紀ぶり
日本史の教科書でおなじみの国重要文化財「空也上人立像」を半世紀ぶりに東京で公開中。作者は鎌倉時代の巨匠運慶の四男・康勝(こうしょう)。博物館ならではのサンロクマル(360度)展示で、血管やしわまで再現された父譲りのリアルな造形力が堪能できる。ほかにも、平安の昔、空也上人が寄付を集めつくった四天王立像や迫力の閻魔王坐像など、京都・六波羅蜜寺に伝わる仏像の名品を一堂に。
●特別展「空也上人と六波羅蜜寺」
東京・上野の東京国立博物館本館で5月8日まで。月曜休館(5月2日は開館)。一般1600円ほか。公式サイト(https://kuya-rokuhara.exhibit.jp/)で事前予約(日時指定券)を推奨。当日券も枚数限定で販売。
※週刊朝日 2022年4月29日号