AERA 2022年4月25日号より
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 ここ数年、増加傾向が続く不登校。環境の変化が多い新学期は特に目が離せない。もし子どもの行き渋りが始まったらどうしたらいいのか。AERA 2022年4月25日号の記事を紹介する。

【図】子どもが学校に行き渋ったときにはどうすればいい?

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 新学期を前に、曇り顔の子どもたちがいた。

「絶対に明日学校行かない!」

 東京都杉並区に暮らす小学2年の男の子は大粒の涙を流してこう訴えた。昨年の入学以降、一度も喜んで学校に向かったことがない。団体職員の母親(41)によると、ほぼ毎日、校門か友達との待ち合わせ場所まで親がついていく状況だという。保育園までは嫌がることなく通園していたが、小学校に入った途端に、いわゆる「行き渋り」が始まった。

 母親が学校に行きたくない理由を尋ねると「勉強がわかんない」「学校がつまらないから」と言うばかり。苦手な勉強ができるようになれば少しは変わるかもしれないと、個別指導の塾にも連れていったが、行き渋りは無くならない。母親は言う。

「自分も子どもの頃に学校に行きたくないという気持ちはありましたよ。でも、行くのが当たり前だから頑張って行っていた。今は“子どもに無理をさせないで”なんて言われますけど、怠けとの違いが分からないし、どうしていいのかも分からない」

 今のところ学校を休むまでは至っていないが、不登校になるのではという不安は常にある。

 昨年度は、不登校を克服した親たちの集まるオンラインの会にも出てみたが、「克服して今は医者になっている」など美談ばかりだったため、うんざり気分で終わってしまった。

「結局、学校に行けるようになり、医者になったとか、難関大に行けたという話でした。不登校で学業でもドロップアウトしたけど幸せに生きていますという事例はなかなか聞かないじゃないですか」

 母親は、むしろ不安が強くなったと訴える。

■登校初日に学校で嘔吐

 都内在住で今春小学3年になった娘を育てる女性(39)は、嘔吐(おうと)や大泣きを繰り返す娘に寄り添う2年間を過ごした。

 入学は「コロナ初年度」の2年前。緊急事態宣言が明けた6月から分散登校で小学校生活が始まったが、娘は前日から「行きたくない」とぐずっていた。登校初日は学校で嘔吐。その後も給食を食べないなど体調不良を訴えたため、すぐに呼び出しの電話が鳴る日々が続いた。コロナのこともあってか、この2年間、何度も迎えに行っている。

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