そもそもSAMさんの実家は、岩槻藩の御典医の家系。父も兄もいとこも医者という環境だったが、勉強嫌いのSAMさんがのめり込んだのは中学3年で出会ったダンス。ところがジェロントロジー講座は、これまでの勉強とは全く違った。生物学、心理学、社会学などさまざまな分野を組み合わせての講義は興味深いものばかり、SAMさんはスマホ2台で臨んだ。1台で視聴、1台でメモを取る。30分の講義に3時間かかったが、楽しかった。

「ダレデモダンスで高齢者の方々と向き合い、自分のこれまでと学びが結びついた。めちゃくちゃ遅咲きですけど、勉強が楽しくてしょうがなくなりました」。そんなSAMさんが4月に出版したのが、『いつまでも動ける。』(クロスメディア・パブリッシング)』。自身のダンス人生とダレデモダンスの実践、そしてジェロントロジーから得た知識を融合させた本だ。

 SAMさんのダンス人生は、まずは実践してみる、街に出る、踊る、自分なりにやってみる。そういうものだったという。だから、この本も実践編から入った。STEP1は準備編というか、SAMさんから体を動かしていない人への励まし編だ。ノルマと考えず、思い立ったら動く。仕事で頭がいっぱいで運動どころではないという人も、思い切って体を動かそう。ラジオ体操第一なら3分。<気づいたときが始めどき>と見出しにある。

 STEP2では「姿勢を整えること=一番手軽に始められるトレーニング」として、背を治す方法を伝授する。(1)後ろから肩甲骨を押されるイメージで胸を張る、(2)下腹に力を入れる、(3)腰骨を上に引き上げるーーという方法だ。19歳ごろまでダンサーの先輩から「おまえ、猫背だな」と注意されていたというSAMさんいわく、「正直、最初はつらいです。ですが、この姿勢をキープしていると、次第に筋肉がつき、自然と正しい姿勢が癖づきます」。

 STEP3が本書の目玉、股関節強化だ。高齢者向けのダンスプログラムをつくるため、丸山泰幸医師らから医学的見地をかなり学んだ。理学療法士、ティラピス指導者、バレエダンサーなどなど、いろいろな人の話も聞いた。そうした積み重ね、そして長く踊ってきたSAMさんの実感から行き着いたのが、「股関節が体の要」ということだ。

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多くのプロから学んだ「股関節の大切さ」