広瀬:年齢を重ねていったら、自分の感覚も変わると思うんです。今回、李さんに「ちょっと早かったかもね、この役やるの」って最後に言われたんです。
林:そうなの?
広瀬:年齢かどうかわからないですけど、何かがまだ李組に追いつけてないので、やることはたぶんいっぱいあるんだと思います。私自身も、今回定まってないままインしちゃったので、ある意味焦ってます、ちゃんと(笑)。
林:そう言われて、ちょっとムカッときませんでした?
広瀬:いや、私はこのお仕事しかしたことがなくて、特殊な人生経験しか持っていないので、自分は普通のことを理解すべきだなと思いました。
林:普通だったら学校を出て、お勤めしたかしないかくらいの年齢のときに、重みを持った人間の内面を演じなきゃいけないわけだから、大変なことですよね。
広瀬:だからたぶん「早かった」と言われたんです。
林:「情熱大陸」でも、すごく迷ってましたね。「まだわからないことがいっぱいです」と言って。
広瀬:そのまんまこの作品にぶつかったという感じです。
林:でも、こんなに忙しかったら、いろんな人とおつき合いすることだってできないですよね。
広瀬:ラブストーリーもぜんぜんやったことないんです。誰かに恋心を抱く役しかやったことなくて、彼氏がいる役は演じたことがなかったんです。だから相手の役者さんとの距離感とかがぜんぜんわからなくて、李さんにいっぱい助けてもらいました。
林:今回は撮影監督が「パラサイト 半地下の家族」の……。
広瀬:ホン・ギョンピョさんですね。空の色とか自然光をすごく大事にされて、日中でも夕方でも、30分しか撮れない状況で、まあ辛抱強く撮ったりするので、李さんとぜんぜんスピードが合わないんですよね。それで何日かにわたって撮影することもありましたし、天気待ちもよくありました。その待ってる間に「空だけのカットだったら、いま奇麗だからそっちを撮っちゃおう」とか、その場で撮影スケジュールが変わったりしました。
林:私、お会いしたことないんですけど、原作者の凪良ゆうさんにはお会いしました?
広瀬:先日お会いしました。
林:どんなことをおっしゃってました?