◆再エネ賦課金も年1万円ほど上昇
電気やガス代の比較サイトを運営する「エネチェンジ」広報の中田都季子さんは言う。
「電力各社は、電源構成などを参考に、あらかじめ設定した基準価格と直近の燃料価格の差額を電気代に反映します。直近の燃料価格は、3~5カ月前の平均価格を用いる。平均価格が基準価格を上回るとプラス、下回るとマイナスの調整を毎月行う。最近は燃料価格が上昇しているのでプラスの調整、つまり料金のかさ上げが続いています」
東電の5月分の燃料費調整単価は、昨年5月分から、電力使用量1キロワット時あたり6.38円増えた。平均的な家庭だと1年で1600円以上、負担が増えた計算だ。調整の額は、請求書には1キロワット時あたりの単価と、使用量に応じた総額が表示される。
燃料の基準価格や調達費は、ウクライナ侵攻後の影響分がこれから順次、反映されていく。値上がりが長引くとみられるのは、こうした仕組みのためだ。
5月分からは、再生可能エネルギーの普及のため電気使用量に応じて上乗せされる賦課金も、1キロワット時あたり3.45円に値上がりする。
賦課金は毎年4月ごろ、政府がその年度の額を決める。今回の上げ幅は1キロワット時あたり0.09円と少なくみえるが、制度が始まった12年度の同0.22円と比べると同3.23円も高い。平均的な家庭では10年で月約840円、年1万円前後も上がる。請求書には「再エネ賦課金」(同)などと表示されている。
電気代の値上がりにどう備えるか。前出の中田さんはこう助言する。
「燃料費調整額や賦課金は、基本的にはどの電力会社もほぼ同じだと考えていい。電気代のカットには、契約アンペアの見直しや『新電力』への切り替えが有効です」
契約アンペア数も検針票などで確認できる。毎月一定の基本料金や、その月の使用量に応じて払う従量料金の単価は、契約アンペアを下げると安くなる。
「一般的にマンションで一人暮らしの場合は20~30アンペア、3~4人世帯は40~50アンペア、部屋数の多いマンションや戸建てなどは、60アンペアでの契約が目安。家族が同時に、最も集中的に電気を使う時間帯を基準に適切なアンペア数を考えるとよい。見直すだけで月数百円の節約につながるケースもあります」(中田さん)