【症状】

 代表的な「社交不安症」「全般不安症」「パニック症」の症状について説明します。

● 社交不安症

人とのかかわりを避けるようになると、人と接する際の緊張や不安はさらに大きくなる(イラスト/タナカ基地)
人とのかかわりを避けるようになると、人と接する際の緊張や不安はさらに大きくなる(イラスト/タナカ基地)

「社交不安症」は、「人とかかわる場面」で強い不安を生じます。対人恐怖症やあがり症、スピーチ恐怖症などと呼ばれるものも含まれます。人前でスピーチをしたり、目上の人や初対面の人と会話をするときは、誰でも多少なりとも緊張するものですが、社交不安症の人が感じる不安は恐怖に近いくらい強く、発汗や震え、赤面、吐き気などをともなう場合もあります。

 こうした体験をすると、また恥ずかしい思いをするのが怖くて、人との接触を避けるようになります。学校や会社に行けなくなり、不登校や引きこもりに発展するケースも少なくありません。

 社交不安症は思春期に発症しやすい病気です。人前でうまく発言できずに周囲にからかわれて恥をかいたなど、思春期によくある「嫌な体験」をきっかけに発症するケースもあります。

『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より
『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より

● 全般不安症

 30代以降で発症することが多く、女性のほうが男性の2~3倍かかりやすいとされています。病名通り、不安を感じる対象が一つではなく、なんでもかんでも不安になる。病気かもしれない、夫が会社をクビになるのではないか、自分や家族が事故にあったらどうしようなどと、とりとめのない不安が次から次へと頭に浮かんできて、仕事や家事が手につかなくなり、日常生活に支障をきたします。

 また、不安によって筋肉は緊張状態が続くため、頭痛や肩こり、不眠などが出やすく、こうした身体症状で受診して、不安症が発見されるケースもあります。

● パニック症

 女性のほうがかかりやすく、女性の好発年齢は20代後半から30代前半です。男性は20代前半で発症するケースが多くなっています。

 パニック症は、何の前触れもなく突然起こるパニック発作から始まります。動悸や息苦しさ、発汗、吐き気、めまいなどの激しい身体症状をともなう発作で、本人は「このまま死ぬのではないか」と思うほどの恐怖を感じます。

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不登校や引きこもりになるケースも