──好きな歌手や俳優はいますか。

采明「ずっと、(アメリカ人歌手の)テイラー・スウィフトが好き。いつまでも乙女というかピュアな心を持っている」

慶子「好きな俳優さんはムロツヨシさん。雰囲気がふわふわしていて、いい人そう。4人組ロックバンドの『RADWIMPS』のメンバーや元オフコースの小田和正さんも好きです」

*  *  *

 淳子さんは、「5年後、10年後、彼女たちは現代の中で狂言に何ができるのか、考えていくと思います。それにも期待しています」と話す。

 2人の祖母で“セッチー”こと和泉節子さんは、女性狂言師の発祥についてこう語る。

「狂言和泉流が始まった584年前から女人禁制ではないんですよ。だけど、武家の時代に女性が男性より前に出ることはほとんどなかった。だから女性狂言師が生まれなかった。世界がグローバル化を迎えるなか、私の夫の19世宗家和泉元秀は『狂言が先すぼみではいけない、末広がりにしたい』と考え、娘の淳子、藤九郎の2人に1歳半から狂言を教えたんです」

 節子さんは、采明さん、慶子さんについての思いを、こう話した。

「淳子、藤九郎の2人に次いで、女性の孫2人が女性狂言師を継いでくれる。私から見ても、この2人は狂言が好きですから、飽きることなく、尽きることなく、自分の道を突き進んでもらうことを願っています」(節子さん)

 彼女たち2人が狂言の世界でどんな個性を見せるようになるのか。楽しみだ。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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