膀胱は、おもに平滑筋という筋肉でできている。尿をためるときには膀胱の筋肉は緩み、容量は大きくなる。排尿の際には膀胱は収縮し、尿を押し出す。膀胱に十分に尿がたまらないうちに尿意が起きてトイレに行きたくなる「尿意切迫感」が起こると、頻尿になる。この場合、いわば膀胱が過敏になって、過剰に反応してしまう「過活動膀胱」という病気が原因になっていることが多い。特に女性では頻度が高い。
また、加齢によって膀胱の筋肉が硬くなって弾力を失い、容量が小さくなることもあげられる。
そのほか、10~30代の若い世代の頻尿では、原因疾患が見つからない「神経性頻尿」が多い。過度なストレスなど、心理的な誘因で起こるが、ここでは説明を省略する。
頻尿に悩む人が増えてくるのは50代後半からだ。膀胱の機能低下だけでなく、尿の通り道である尿道も加齢によって働きが十分でなくなることが多い。尿道には括約筋があり、締めて尿をこらえる/緩めて排尿するという働きをしている。日本大学板橋病院病院長の高橋悟医師は次のように話す。
「括約筋の締める力だけではなく、膀胱との協調運動がスムーズでなくなることが、頻尿などの過活動膀胱症状に関与しているのではないかと考えられています」
男性では、膀胱の出口近くに尿道を囲むようにして存在する前立腺も排尿に大きく影響する。加齢によって前立腺が肥大する「前立腺肥大症」になると、尿が出にくいなどの排尿障害のほかに過活動膀胱を起こし、頻尿があらわれることがある。
また、前述した抗利尿ホルモンは水分を尿として排出する前に、再度吸収して尿量をコントロールする役割をもっているが、加齢によって分泌量が十分でなくなると、尿量を減らせなくなり、特に夜間頻尿があらわれる。
■生活に支障が出たら治療を考慮する
最初に頻尿の定義をあげたが、回数は一つの目安で、生活に支障があるかないかで受診を考慮することが望ましい。しかし、それほど困らないからといって放置していると、さまざまなリスクが高くなる。