こちらの自由な人とは問題になりません。向こうでは想念だけの人間になるんだから、想像すれば何だって瞬時に手に入ります。だけどあんまり長くいるとどんどんボケて来るので、再び、こっちの世界に、肉体的苦痛を伴って、あの狭い産道を通って、肉体的存在として再生します。そして、その瞬間から時間の制約の中で、あの「幸せの青い鳥」を求めての、あくなき生存競争が始まります。

 この原稿を入稿したあと、嵐山光三郎さんの「コンセント抜いたか」に、「青い鳥」が出ていてシンクロニシティに嬉しくなりました。

横尾忠則(よこお・ただのり)/1936年、兵庫県西脇市生まれ。ニューヨーク近代美術館をはじめ国内外の美術館で個展開催。小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞。2011年度朝日賞。15年世界文化賞。20年東京都名誉都民顕彰

週刊朝日  2022年5月20日号

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横尾忠則

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横尾忠則(よこお・ただのり)/1936年、兵庫県西脇市生まれ。ニューヨーク近代美術館をはじめ国内外の美術館で個展開催。小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞。2011年度朝日賞。15年世界文化賞。20年東京都名誉都民顕彰。

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