「トランプは立候補する。今のところ、共和党内で強力な対立候補がいない」
トランプ氏にとって今回の中間選挙は、推薦する150人を当選させ、他の大統領候補者に勝るキングメーカーになれるかどうかの勝負でもある。
一方で、トランプ氏の影響力はそれほどでもないという見方もある。トランプ政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏は著書『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』(朝日新聞出版)で、「トランプ劇場」を厳しく批判した。保守派の彼はその後、共和党をトランプ政権前の状態に戻すため、調査や発言を続けている。
ジョン・ボルトン・スーパーPAC(政治活動特別委員会)が今年1月に発表した世論調査によると、トランプ氏の影響力が共和党内で低下していることが分かった。中間選挙で投票するという共和党員で「トランプ派」と自認する有権者の割合は14.6%と、昨年9月発表の29.4%から大幅に落ち込んだ。トランプ氏が推薦する候補者に投票するという人の割合も、同様に28.8%から12.6%に低下している。
20年大統領選挙に勝利したのは、バイデン氏ではなくトランプ氏だというQアノンの陰謀論支持者たちも、実は多数派ではない。共和党有権者の67%が「バイデン氏は法で認められた大統領」だと回答している。
ボルトン氏は記者の取材に対し、こう指摘した。
「トランプ氏の影響力は、暴落している。24年大統領選挙には立候補しないだろう。なぜなら彼がもっとも嫌がるのは、負けることだからだ」(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)
※AERA 2022年5月23日号より抜粋