岬氏は、参院選で落選後、昨年の衆院選の愛知5区に維新から立候補して落選し、比例代表で復活当選した。維新の愛知県総支部代表の杉本和巳衆院議員は、
「昨年の衆院選で愛知5区に出馬意向を示した際に、私も経歴のことを確認したら『大丈夫だ』と説明していました」
と言葉少なに話す。
一方、岬氏の会見に同席した維新の藤田文武幹事長は、今回の件について、
「岬氏は、履修科目として講義はしていた。その表現の仕方に問題があり、本人からも謝罪があった。法的責任、重い処分を課すのは違うのかなと思います。幹事長からの口頭での厳重注意ということになった」
との処分内容を明かした。
これについて、愛知5区の維新関係者は、
「非常勤講師ではないのに選挙公報に記載していたのは事実、と岬氏が認める中での厳重注意という処分に、維新は『身を切る改革だろう』『身内に甘すぎる』との声も寄せられています」
と話す。
元東京地検の落合洋司弁護士は、自身も非常勤講師を務め、衆院選にも出馬した経験がある。
「私も大学の非常勤講師の経験がありますが、委嘱状や大学のメールアドレスが出され、シラバス(授業計画)にも掲載される。非常勤講師とは、毎日講義はしていないが、大学のルールで正規に選ばれている先生、というのが一般的な社会通念。岬氏の説明を聞くと、かなり社会通念と乖離(かいり)があるように感じる。国会議員になろうとする者が、非常勤講師かどうかはっきり認識できないのに選挙公報などに載せるというのは信じがたい」
こう指摘した上で、
「経歴詐称は、公職選挙法235条に該当します。岬氏に故意があったかどうかがポイント。非常勤講師ではなかったことを岬氏が認めている。すでに検察に刑事告発されており、『真っ白』な嫌疑無しの判断にはならない。起訴されることも想定される。事実関係で検察が故意をどう判断するか」
と説明した。
一方、怒りが収まらない河村市長は、
「こんなことがまかり通ってはいかん。近く刑事告発に向けて弁護士と打ち合わせをする」
と話し、今後も責任を追及する構えだ。
(AERAdot. 編集部 今西憲之)