2019年の参院選後のインタビューに答える岬麻紀氏
2019年の参院選後のインタビューに答える岬麻紀氏
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 参院選の選挙公報に書かれた2大学での「非常勤講師」の経歴は虚偽の疑いがあるとして刑事告発された、日本維新の会の岬麻紀衆院議員。AERAdot.が報じてから10日経った5月16日、記者会見を開き、「私の認識と確認の甘さが原因」と非常勤講師でなかったことを認めた。しかし、大学側は明確に否定しているのに、どういう確認をしたら非常勤講師という解釈になったのだろうか?

【写真】岬氏が自ら書いた「非常勤講師」の書き込みはこちら

 会見で岬氏は、

「非常勤講師に該当しないことを、今回の報道を受けるまで認識がなかった」

「非常勤講師と記載した理由ですが、当時の私の認識と確認の甘さが原因であると考えております。当時、私は非常勤講師の定義について特に調べていなかった。経歴詐称する気持ちは毛頭ございません」

 と説明し、謝罪。給与1カ月分を寄付する意向を示した。

 岬氏は2019年の参院選の選挙公報で、<亜細亜大学 非常勤講師><杏林大学 非常勤講師>と記したが、AERAdot.の取材で、そうした事実がないことがわかった。両大学は、岬氏が非常勤講師をしていた事実はない、と正式に回答した。

 しかし、岬氏は当初、地元の支援者らに送ったメールでは「潔白」を訴えてきた。

 会見での岬氏の説明に怒りをあらわにしたのは、19年の参院選で維新とともに岬氏を共同公認した、地域政党・減税日本代表の河村たかし・名古屋市長だ。

「非常勤講師について調べていなかったという岬氏の発言はなんだ? こちらからは何度も『非常勤講師など、プロフィールは大丈夫か』と確認していたはずだ」

 と声を荒らげた。

 岬氏が減税日本の面談の際に持参した履歴書には最初、両大学の非常勤講師という経歴は書かれておらず、面談の途中で、自らペンを持って追加したという。

 減税日本で岬氏の選挙公報などを担当した幹部は当時のことを、こう振り返る。

「非常勤講師というのはとても重要な経歴です。それまでの面談でも聞いたことがなく、いきなり出てきました。不安に思い、減税日本のスタッフが大学に連絡して確認しましたが、個人情報なので教えてもらえず、岬氏に『自分できちんと確認して』と命じました。選挙準備中にも事務所で岬氏に、『非常勤講師の確認は』と聞くと、自ら携帯電話で連絡し、しばらくして『大学の確認が取れました』と複数のスタッフの前で言っていました。私は『書面で証明書をとってくれ』と言ったのですが、選挙の忙しさもあって、そのままになってしまいました」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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