――どんな症状が出たら急性肝炎を疑ったほうがよいのでしょうか。

 自覚症状としては、倦怠感や発熱や吐き気、なんとなくおなかが痛くて便が緩くなるなどがあります。本人よりも、保護者からみてわかるサインは、黄疸(おうだん)です。皮膚が黄色くなる前に、白目が先に黄色くなります。さらに、おしっこの色が普段より濃くなり、逆に便の色が薄くなってクリーム色になります。

――無症状の人もいるのでしょうか。

 肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、気が付かない患者も少なくありません。たまたま何かのきっかけに受けた検査で見つかった場合もあります。

――疑わしい場合は、病院に行けばよいでしょうか。

 黄疸を除けばどんな病気でも起こりうる症状なので、その子どものことをよく知っている、かかりつけ医に診てもらってください。医師が、白目が黄色くなっていると判断したら、血液検査などをします。肝臓のダメージが大きかったり、急に症状が悪化したりしたら、大きい病院を紹介してもらうことになると思います。

――どんな治療を受けることになるのでしょうか。

 ウイルス性の肝炎の場合、ウイルスに感染した肝細胞を免疫が攻撃することで肝炎が発症します。体内にウイルスを持つキャリアであっても、免疫がそのウイルスを敵対視しなければ、発症しません。発症したら、免疫を抑えるためにステロイドなどの薬で治療することがあります。

 重症の場合は、「人工肝補助療法」を行って、回復するまで肝臓の役割を補います。これで凌いでも肝臓の働きが改善しない時は、肝臓移植の準備を整えることになります。

 しかし、日本で肝臓移植ができる施設は、限られています。諸外国に比べて、日本は臓器移植が進んでいません。そのため、今回の肝炎が、いきなり増えると、本来助けられる命を救うことができなくなる恐れはあります。疑わしい症例を詳しく検査して、実態を把握することが重要になってきます。

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子どもから大人への感染は?