※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 子どものランドセルを持ったときに、その重さに驚く保護者は多い。成長段階にある子どもが毎日重いランドセルを背負うことに、身体的な悪影響はないのか。ランドセルが子どもの体に与える影響について整形外科医に聞いた。

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 約15年前と比べると、小学校の教科書のページ数は約47%も増加している(一般社団法人教科書協会『教科書発行の現状と課題』2021年度版。道徳、英語は除く)。授業時間が増加したほか、わかりやすさや学びやすさを重視して、レイアウトなどが工夫されているためだ。

 こうした中でランドセルの重さを懸念する声が上がり、文部科学省は2018年、全国の教育委員会などに対して、児童の携行品の重さや量に配慮するよう、通知を出している。工夫例の一つとして「家庭学習で使用する予定のない教材等について、児童生徒の机の中などに置いて帰る」といった“置き勉”など挙げている。

 しかし2020年には小学校での英語教育が必修化され、さらに最近ではタブレット端末の導入が急速に進み、小学生が持ち歩く荷物はますます増えている。成長期の子どもが毎日重いランドセルを背負うことで、体にはどのような影響があるのか。東京慈恵会医科大学附属第三病院整形外科教授の大谷卓也医師によると、ランドセルの肩ベルトを支える肩の部分や背中から腰にかけての脊椎(せきつい)への負担が大きいという。

東京慈恵会医科大学附属第三病院整形外科教授の大谷卓也医師
東京慈恵会医科大学附属第三病院整形外科教授の大谷卓也医師

「こうした部分に痛みや周囲の筋肉疲労が出やすく、慢性化すると治りにくくなることが危惧されます。高齢者のようにすぐに骨や関節に障害が出るわけではありませんが、大きな負荷がかかった状態が数年にわたって継続すれば、それも否定できなくなります」

 さらに最近は“子どもロコモ”と呼ばれるように、運動能力や体力の二極化が懸念されている。「ロコモ」は「ロコモティブシンドローム」の略称で、運動器の障害のために「歩く」「立つ」といった移動機能が低下している状態のことを指し、本来は高齢者を対象とした概念だ。しかし最近はゲームの普及や外遊びの場が減っていることなどから運動不足の子どもが増え、片足でしっかり立つ、手をまっすぐ挙げる、しゃがみこむなどの基本動作ができない子どもが急増し、こうした現象は“子どもロコモ”と呼ばれている。さらに新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛などの影響が、運動不足に追い打ちをかけた。

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体への負担を軽くする工夫は?