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 AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2022年5月30日号では、大阪府豊中市のひかり工務店で経理を担当する清水美穂さん、ひかり工務店代表取締役の清水洋人さん夫婦について取り上げました。

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 夫23歳、妻23歳で結婚。長男(26)、長女(24)は独立し、現在は次男(15)、三男(11)と4人暮らし。

【出会いは?】広島のディスコで、大学生だった夫が「いま何時?」と妻をナンパし、交際がスタート。
【結婚までの道のりは?】大学卒業後に大阪で就職した夫と広島在住の妻は遠距離恋愛に。月に2回しか会えず電話代もかさむ状態を1年半続け「もう結婚しよう」と決めた。
【家事や家計の分担は?】家事はほぼ妻の担当。夫は食器洗いが好きで、長女に「アライグマみたい」と言われるほど熱心に洗う。夫婦の財布は基本一緒。

妻 清水美穂[51]ひかり工務店 経理担当

しみず・みほ◆1971年、広島県生まれ。高校卒業後、会社員として事務職を経験。結婚後は夫の実家の喫茶店を手伝い、2003年からひかり工務店を支える。いまでは社員38人に増え、大阪府豊中市で人気の工務店に成長した

 ディスコで夫にナンパされたときは「大阪弁のあやしい人だな」と思いましたが(笑)、それから彼の人生の紆余(うよ)曲折を隣で見てきました。

 夫は不動産会社への就職直前にバブルがはじけて内定を取り消され、鉄筋工をしながら建築士の勉強をし、建築の面白さに目覚めたようです。思いがけず早く独立することになったけれど、私は不安を感じませんでした。彼の人となりから「大丈夫だろう」と思えた。だから「やってみたら」と背中を押しました。

 私自身も結婚前は仕事を義務感でやっていたけれど、自営をはじめてから働くことに前向きに、やる気になったと思います。「生活がかかっているんだから!」と二人でなんでもやりました。義父母の介護子育てと仕事を抱えていた時期が一番大変で、上の二人には寂しい思いをさせてしまったと思います。でもいま長男が現場監督として、長女は広報として一緒に働いてくれています。親の背中を見てくれていたのかな、と思うとちょっとうれしいです。

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