芥川賞作家の誕生。作家の出身大学にとってこんなに誇らしいことはない。
【ランキング】芥川賞、直木賞…文学賞受賞者の出身大学(全4ページ)
2021年上半期、芥川龍之介賞に石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』が選ばれた。石沢さんは東北大の出身である。
大学はとても喜んだ。同大の大野英男総長はうれしさを隠さない。
「受賞作品は、幼い頃からの石沢さんの長年の研鑽のたまものです。加えて、東北大学で学ばれ、そして今もドイツで取り組み続けておられる西洋美術史という学問が、石沢さんの視覚世界を豊かにすることを助け、文章として結実させたようにも感じました。文系の学問というものの成果が時間をかけて、多様な形で現れるものだということを実感しています。本学の誇りであり、学生たちや卒業生たちにとっても大きな励みとなります。今後のますますのご活躍を楽しみにしています」(大学ウェブサイト2021年7月15日、一部抜粋)
同年下半期芥川賞は、砂川文次さんの『ブラックボックス』が受賞した。砂川さんの出身校、神奈川大もとても喜んだ。「本学卒業生の砂川文次さんが芥川賞を受賞しました!」と銘打ち、砂川さんの学生時代の思い出をこう紹介した。
「正直未だに実感がないというのが本音です。学生時代は真面目に取り組んでおり、サークル・ゼミには所属していませんでしたが、勉強と読書が中心な学生生活でした。落ち着ける場所が図書館だったので、よくハードカバーや文庫を読んでいました」(大学ウェブサイト2022年3月3日)
21年に中央公論文芸賞を受賞した故・山本文緒さんも神奈川大出身であり、00年下半期の直木三十五賞受賞者だ。
21年下半期直木賞受賞者の米澤穂信さんは金沢大、今村翔吾さんは関西大の出身である。
21年に松本清張賞を受賞した波木銅さんは大正大の学生だった。受賞作の『万事快調<オール・グリーンズ>』は女子高生が学校で大麻を栽培するという衝撃的な内容だ。波木さんは若い世代にこんなメッセージを寄せている。