「売り場からベストセラーをつくる!」を目標に、商品である本と顧客である読者を最も知る立場にいる書店員が、「売れる本を作っていく、出版業界に新しい流れをつくる、ひいては出版業界を現場から盛り上げていく」ために発案した「本屋大賞」。
2024年度は、
・本屋大賞:2022年12月1日〜2023年11月30日の間に刊行された日本の小説
・翻訳小説部門:同期間に日本で刊行された翻訳小説
・発掘部門:ジャンルを問わず、2022年11月30日以前に刊行された作品
を、全国の書店員が選びました。
そして、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2024年本屋大賞」の発表会が、2024年4月10日、明治記念館にて行われました。
それでは、本屋大賞と翻訳小説部門、発掘部門の本をご紹介をします。
2024年本屋大賞「成瀬は天下を取りにいく」宮島未奈
著者の宮島未奈氏は、坪田譲治文学賞やダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2023」小説部門第1位、「中高生におすすめする司書のイチオシ本 2023年版」第1位などを続々受賞した作家です。
「成瀬は天下を取りにいく」は2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説です。
あらすじ
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2024年本屋大賞 翻訳小説部門第1位「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」ファン・ボルム(著)牧野美加(訳)
インターネットで人気を呼び、韓国で累計25万部(2023年9月26日現在)を突破した、心温まるベストセラー小説。新米女性書店主と店に集う人々の、本とささやかな毎日を描いています。
著者のファン・ボルム氏は小説家であり、エッセイスト。大学でコンピューター工学を専攻し、LG電子にソフトウエア開発者として勤務した経験を持ちます。
あらすじ
ソウル市内の住宅街にできた「ヒュナム洞書店」。会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。
書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコーヒー業者のジミ、無気力な高校生ミンチョルとその母ミンチョルオンマ、ネットでブログが炎上した作家のスンウ……。
それぞれに悩みを抱えたふつうの人々が、今日もヒュナム洞書店で出会う。
2024年本屋大賞 発掘部門「プラスティック」井上夢人
「プラスティック」は、2024年本屋大賞発掘部門「超発掘本!」に選出されて続々重版中です。
著者の井上夢人氏は、1982年「岡嶋二人」で第28回江戸川乱歩賞、第39回日本推理作家協会賞、第10回吉川英治文学新人賞を受賞。1989年に「岡嶋二人」解散。1992年「井上夢人」としてソロデビューしました。
最新刊は「魔法使いの弟子たち」講談社です。
あらすじ
54個の文書ファイルが収められたフロッピイがある。
冒頭の文書に記録されていたのは、出張中の夫の帰りを待つ間に奇妙な出来事に遭遇した主婦・向井洵子が書きこんだ日記だった。
その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線となる!
2024年本屋大賞はこちらもおすすめ!
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
2024年本屋大賞 翻訳小説部門はこちらもおすすめ!
2位
3位
2024年上半期 第171回芥川賞はこの2冊!
2024年7月17日に、第171回芥川龍之介賞の選考委員会が開催され、朝比奈秋氏の「サンショウウオの四十九日」と松永K三蔵氏の「バリ山行(さんこう)」が授賞作となりました。
そこで、第171回芥川賞の2作品をおすすめします。
第171回芥川賞 「サンショウウオの四十九日」朝比奈秋
著者の朝比奈秋氏は、1981年生まれ。2021年「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞し、22年に同作を収録した単行本「私の盲端」でデビューしています。
医師としての経験と驚異の想像力で同じ身体を生きる姉妹、その驚きに満ちた普通の人生を描いた作品です。
あらすじ
周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。
不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか?
そして今これを考えているのは誰なのか――
第171回芥川賞 「バリ山行」松永K三蔵
著者の松永K三蔵氏は1980年生まれ。関西学院大学卒。2021年「カメオ」で第64回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビューしました。
こちらの「バリ山行」は、会社も人生も山あり谷あり。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説です。
あらすじ
古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。
会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。
その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。
2024年上半期 第171回直木賞はこちら!
芥川賞と同日、第171回直木三十五賞の選考委員会が開催され、一穂ミチ氏の「ツミデミック」が授賞作となりました。
第171回直木賞 「ツミデミック」一穂ミチ
著者の一穂ミチ氏は、1978年生まれ。関西大学卒。2007年『雪よ林檎の香のごとく』でデビューしました。
「ツミデミック」は稀代のストーリーテラーによる心揺さぶる全6話です。
あらすじ
大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。
ある日、バイト中にはなしかけてきた大阪弁の女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。
過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は……「違う羽の鳥」
調理師の職を失った恭一は家に籠もりがちで、働く妻の態度も心なしか冷たい。
ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣の一軒家に住む老人からもらったという。
隼からそれを奪い、たばこを買うのに使ってしまった恭一は、翌日得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れるが……「特別縁故者」