竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】中国・大連にあるローソンの店舗。コロナ対策が厳しい中国で働く人たちに頭が下がります

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 コロナ禍の入国制限で、海外との行き来がすっかり減ってしまいました。特に社会人になったばかりの人たちには、外国で働くということがイメージしにくくなっているかもしれませんね。ローソンもそうですが、海外展開している企業では、多くの仲間が現地で活躍しています。

 ローソンには中国や東南アジア、ハワイにも駐在員がいます。せめて1年に1度は帰国してリフレッシュしてほしいのですが、この状況なのでそうもいきません。とりわけロックダウンを体験した社員には本当に頭が下がります。

 私も三菱商事に勤めていたころ、2002~05年の3年間、米国に駐在していました。当時は豚肉事業を担当していて、インディアナ州のラファイエットという田舎町に家族そろって住んでいました。

 コーンや大豆畑の中にいくつか住宅が集まっているようなところで、朝採れた野菜を持ってきてくれたり、困りごとがあれば助けてくれたり。ニューヨークのような大都市だとこうはいかないのかもしれませんが、互いをリスペクトしあういいマチでした。

中国・大連にあるローソンの店舗。コロナ対策が厳しい中国で働く人たちに頭が下がります
中国・大連にあるローソンの店舗。コロナ対策が厳しい中国で働く人たちに頭が下がります

 コミュニティーの一員として生活してゆく。相手にもそう受け止めてもらえるよう努めれば、言葉が不自由でも生きてゆけるし、暮らしが豊かになる。これだけは実際に体験して覚えるしかないですね。

 ローソンではいろんな国の人が働いています。留学生で店舗で働いている方たちの座談会に参加したことがあるのですが、「日本の社会に早く馴染みたい」「おせちやイチゴのスイーツを通じて文化や季節を理解できる」といった声が印象に残りました。

 言葉があまり通じないうえにお客さま相手の仕事なので、働き出すのはかなり勇気がいると思います。そんなクルーの皆さんも同じマチで暮らす仲間。互いをリスペクトして、インクルーシブなマチづくりに貢献していきます。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2022年6月6日号