■2月のラインで妥結
ロシア軍をウクライナ国内から完全に追い出したとしても、それですべて解決するわけではないという。
「何らかの形でウクライナが両人民共和国地域を取り返したとします。逆に、国内が混乱するでしょう。現政権に対して強烈に批判的な人々をウクライナ領内に抱えることになるからです。取り戻せばまた血が流れる。ただ、国内世論は取り戻さないと許さない。逆にいまロシアが押し込んでいるラインで妥協してしまえば、国内の復讐(ふくしゅう)心は一向に収まらず、また何らかの形で火がついてしまう」
「2月24日のラインまでの奪還でとどめておき、そこで妥結する。そのうえで、両人民共和国は何らかの形で分離させる手続きをとる。おそらくこれが、現状では最も持続的な平和をもたらす仕組みであり、解決策ではないかと思います」
(構成/編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年6月20日号より抜粋