そうした中、BTSは2020年8月にリリースした「Dynamite」が米ビルボード・シングルチャートで1位になるなど、米国で躍進。来年のデビュー10周年のアニバーサリーイヤーに向けて、さらなる飛躍が期待されていた矢先の活動休止騒動だった。
今回の発表に至る理由はさまざまありそうだが、その最たるものは兵役問題だろう。
韓国には徴兵制度があり、男性は満20~28歳の誕生日を迎えるまでの間に兵役に就く義務がある。とはいえ、すべての男性に兵役が課されるわけではなく、疾病や心身障害を抱える者、本人がいなければ家族の生計を維持できない者などは兵役が免除される可能性がある。
また「オリンピックで3位以内に入賞した選手」や「国際芸術競演大会で2位以上の入賞者」など運動・芸術で成果をおさめた者は通常の兵役を免除される制度もある。BTSには21年6月に施行された改正法(通称「BTS法」)が適用されており、現在は「大衆文化芸術分野優秀者」として入隊が2年延期されている状態にある。とはいえ、兵役の免除自体は認められていない。
「BTSの最年長メンバーのJINは1992年生まれで、改正法により2年引き延ばされてはいるものの、このままいけば今年中に入隊しなければなりません。韓国ではいくら売れっ子アーティストといえども“兵役逃れ”に対しては厳しい批判が集まります。韓国のエンタメ業界が政府の国策により文化振興予算を割り当てられていて、国費で支えられている側面も無視できないでしょう。実際に東方神起やBIGBANGのメンバーたちも兵役に服務していますからね」(同音楽誌ライター)
もうひとつ、活動休止の意向が明らかにされた「BANGTAN TV」でのメンバーたちによる「防弾会食」の中で、リーダーのRMが発した言葉にも注目が集まっている。
RMは「音楽を作り続け、何かをやり続けなければならない。朝起きて、化粧をして、でも成長する時間がない。音楽と仕事だけではなくて、自分自身もこの10年で変わった。ひとりで過ごす時間を持って、自分自身が成熟するために考える時間が必要。『BTS』として10年間過ごしてスケジュールをこなしていく中で、自分はこれ以上成熟することができないと感じている」と心境を吐露した。